■クリーンベンチについて
クリーンベンチとは
「クリーンベンチ」という名前を聞いたことがあるでしょうか?
クリーンベンチは、ゴミやホコリ・浮遊微生物などの混入(コンタミネーション)を防ぐために一定の清浄度レベルになるように管理された囲いの付いた作業台です。
クリーンベンチは、フィルタを通した清浄空気を作業対象物に対して直接流れるようにすることで、清浄度の低い室内でも局所的に高い清浄度を維持することが可能なのです。
送風機や高性能エアフィルタ(HEPAフィルタ、ULPAフィルタなど)・照明を基本構成として、必要に応じて水道やガス・流し・排気などの機能が付いているクリーンベンチもあります。
クリーンベンチの構造、性能、試験方法は、JIS B9922で規定されています。
クリーンベンチの構造 - JIS B9922に基づく規定
クリーンベンチの構造は、JIS B9922の規定に厳格に従って設計されています。その中で特筆すべき項目が以下の通りです。
A)保守、点検及び整備が容易にできる構造とする。
これにより、クリーンベンチが常に最適な状態で稼働することが可能となります。定期的な保守、点検、整備が行えることで、長期間にわたって装置の性能を維持することができます。
B)作業空間の壁面は、容易にはく離及びさびを発生しないものとする。
これは、クリーンベンチ内部の清浄度を維持するために非常に重要な点です。壁面からの微粒子の発生を抑えることで、コンタミネーションのリスクを最小限に抑えることが可能です。
C)ろ過されていない空気が作業空間に流入しない構造とする。
これは、空気中の微粒子が製品に影響を与えないようにするための重要な要素です。クリーンベンチ内部に流入する空気はすべてフィルターを通過したものであるべきです。
D)クリーンベンチ本体を接地可能な構造とする。
これにより、電気的な問題を回避することができます。装置の接地は、静電気や電磁界による不具合を防ぐために重要です。
E)主エアフィルタは、HEPA又はULPAフィルタでなければならない。
これらのフィルタは非常に高い捕集効率を持ち、クリーンベンチの性能を保証します。これにより、空気中の微粒子を効果的に除去できます。
F)フィルタは、通常の空気条件において、容易に変質及び腐食しないものとする。また、保守又は、整備・交換のために容易に脱着できるものとする。
フィルタの耐久性と交換のしやすさは、長期的な装置の使用にとって重要な要素です。これにより、効率的な保守と運用が可能となります。
G)主エアフィルタの取り付け部は、経年変化に対してエアロゾルの漏れがない構造とする。
これは、長期的な使用においてもクリーンベンチの性能が低下しないことを保証します。エアフィルタの取り付け部が適切に設計されていれば、エアロゾルの漏れや不適切なフィルタリングが発生することはありません。
H)酸、有機溶剤、生物粒子、有毒ガスなどを取り扱う機種の場合、これらを含んだ空気が所定の経路から排気できる構造とする。
特定の環境で使用されるクリーンベンチでは、これらの特性を考慮することが不可欠です。酸や有機溶剤、生物粒子、有毒ガスなどが含まれる空気は適切に排気され、クリーンベンチ内部の空気環境を維持します。
I)防爆構造のものは、JIS C 0903に規定する構造とする。
爆発リスクのある環境で使用する場合の安全性を確保するために必要です。JIS C 0903に従った設計は、そのような状況でも確実に装置の安全を保証します。
J)照明灯と殺菌灯を備えているクリーンベンチにあっては、受渡当事者間の協定がない限り,同時には点灯してはならない。
これは、安全上の観点から重要です。照明灯と殺菌灯が同時に点灯すると、意図しない照射による影響が発生する可能性があります。そのため、使用者間で明確な協定を結ぶことが推奨されます。
これらの規定により、クリーンベンチはその高いパフォーマンスと安全性を保証し、それぞれの特性に基づいて最適なクリーン環境を提供します。
A)保守、点検及び整備が容易にできる構造とする。
これにより、クリーンベンチが常に最適な状態で稼働することが可能となります。定期的な保守、点検、整備が行えることで、長期間にわたって装置の性能を維持することができます。
B)作業空間の壁面は、容易にはく離及びさびを発生しないものとする。
これは、クリーンベンチ内部の清浄度を維持するために非常に重要な点です。壁面からの微粒子の発生を抑えることで、コンタミネーションのリスクを最小限に抑えることが可能です。
C)ろ過されていない空気が作業空間に流入しない構造とする。
これは、空気中の微粒子が製品に影響を与えないようにするための重要な要素です。クリーンベンチ内部に流入する空気はすべてフィルターを通過したものであるべきです。
D)クリーンベンチ本体を接地可能な構造とする。
これにより、電気的な問題を回避することができます。装置の接地は、静電気や電磁界による不具合を防ぐために重要です。
E)主エアフィルタは、HEPA又はULPAフィルタでなければならない。
これらのフィルタは非常に高い捕集効率を持ち、クリーンベンチの性能を保証します。これにより、空気中の微粒子を効果的に除去できます。
F)フィルタは、通常の空気条件において、容易に変質及び腐食しないものとする。また、保守又は、整備・交換のために容易に脱着できるものとする。
フィルタの耐久性と交換のしやすさは、長期的な装置の使用にとって重要な要素です。これにより、効率的な保守と運用が可能となります。
G)主エアフィルタの取り付け部は、経年変化に対してエアロゾルの漏れがない構造とする。
これは、長期的な使用においてもクリーンベンチの性能が低下しないことを保証します。エアフィルタの取り付け部が適切に設計されていれば、エアロゾルの漏れや不適切なフィルタリングが発生することはありません。
H)酸、有機溶剤、生物粒子、有毒ガスなどを取り扱う機種の場合、これらを含んだ空気が所定の経路から排気できる構造とする。
特定の環境で使用されるクリーンベンチでは、これらの特性を考慮することが不可欠です。酸や有機溶剤、生物粒子、有毒ガスなどが含まれる空気は適切に排気され、クリーンベンチ内部の空気環境を維持します。
I)防爆構造のものは、JIS C 0903に規定する構造とする。
爆発リスクのある環境で使用する場合の安全性を確保するために必要です。JIS C 0903に従った設計は、そのような状況でも確実に装置の安全を保証します。
J)照明灯と殺菌灯を備えているクリーンベンチにあっては、受渡当事者間の協定がない限り,同時には点灯してはならない。
これは、安全上の観点から重要です。照明灯と殺菌灯が同時に点灯すると、意図しない照射による影響が発生する可能性があります。そのため、使用者間で明確な協定を結ぶことが推奨されます。
これらの規定により、クリーンベンチはその高いパフォーマンスと安全性を保証し、それぞれの特性に基づいて最適なクリーン環境を提供します。
クリーンベンチのバリエーション - 必要に応じて種類を選定
クリーンベンチはその機能性と応用範囲によってさまざまな形状と機能を備えたタイプがあります。以下にいくつかの典型的なクリーンベンチの種類を挙げます。
装置組み込み型クリーンベンチ:このタイプのクリーンベンチは、床置きの装置を組み込むことができ、作業台を取り外すことが可能です。これにより、特定の作業や実験に必要な装置を簡単に追加できます。
無振動型クリーンベンチ:振動が直接伝わらない構造となっているため、敏感な作業や精密な測定を行う際に適しています。
乾燥型クリーンベンチ:このクリーンベンチには赤外線ランプ等が取り付けられており、作業台で乾燥作業が可能です。乾燥が必要な研究や実験に適しています。
ライトテーブル型クリーンベンチ:作業台面がアクリルやガラスなどで組み合わせられ、蛍光灯が組み込まれたクリーンベンチです。これにより、作業空間が明るく照らされ、視認性が向上します。
排気型クリーンベンチ:作業台の一部または全面で排気が可能な構造です。これにより、空気中の不純物や有害物質を効果的に排除できます。
給排水型クリーンベンチ:作業台の一部または全面が流しになっており、正面に給水栓が取り付けられています。これにより、水を必要とする作業を簡単に行うことができます。
循環型クリーンベンチ:このタイプのクリーンベンチは、清浄空気を装置外に放出せずに循環させることができます。これにより、継続的にクリーンな作業環境を維持することが可能となります。
装置組み込み型クリーンベンチ:このタイプのクリーンベンチは、床置きの装置を組み込むことができ、作業台を取り外すことが可能です。これにより、特定の作業や実験に必要な装置を簡単に追加できます。
無振動型クリーンベンチ:振動が直接伝わらない構造となっているため、敏感な作業や精密な測定を行う際に適しています。
乾燥型クリーンベンチ:このクリーンベンチには赤外線ランプ等が取り付けられており、作業台で乾燥作業が可能です。乾燥が必要な研究や実験に適しています。
ライトテーブル型クリーンベンチ:作業台面がアクリルやガラスなどで組み合わせられ、蛍光灯が組み込まれたクリーンベンチです。これにより、作業空間が明るく照らされ、視認性が向上します。
排気型クリーンベンチ:作業台の一部または全面で排気が可能な構造です。これにより、空気中の不純物や有害物質を効果的に排除できます。
給排水型クリーンベンチ:作業台の一部または全面が流しになっており、正面に給水栓が取り付けられています。これにより、水を必要とする作業を簡単に行うことができます。
循環型クリーンベンチ:このタイプのクリーンベンチは、清浄空気を装置外に放出せずに循環させることができます。これにより、継続的にクリーンな作業環境を維持することが可能となります。
クリーンベンチの特徴 - メリットとデメリット
クリーンベンチは、その独自の設計により特有の働きをもっています。クリーンベンチの最も特筆すべき特性は、その内部に清浄な空気を送り込むことにより、装置内部を陽圧状態に維持し、外部からの空気を効果的に排除することです。この作用により、装置外部からのゴミやホコリ(コンタミナント)の流入が防がれます。
しかしながら、このような特性は、一部の作業には不適合な場合もあります。特に、その箱型の構造上、作業者は手だけを差し込む形で操作を行う必要があります。したがって、頻繁にアイテムの出し入れが必要な作業や、作業者が装置に覆いかぶさるような作業には、クリーンベンチはあまり適していません。
しかしながら、このような特性は、一部の作業には不適合な場合もあります。特に、その箱型の構造上、作業者は手だけを差し込む形で操作を行う必要があります。したがって、頻繁にアイテムの出し入れが必要な作業や、作業者が装置に覆いかぶさるような作業には、クリーンベンチはあまり適していません。
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清浄度クラスについて ISO規格(ISO 14644-1)と米国連邦規格(Fed, Std.209)
清浄度クラスとは
クリーンシステムによって生成される空間の清浄度は、「清浄度クラス」によって表現されます。これは、空間中に存在する微粒子の数と粒径に基づいて、その空間の清浄度を分類するための指標です。
現在、日本では主に米国連邦規格(Fed, Std.209)とISO規格(ISO 14644-1)の二つの清浄度クラスの規格が使用されています。これらは共に、空間の清浄度を計測・評価するための規格であり、どちらも微粒子の数に基づいて空間を分類します。
米国連邦規格は長年にわたり広く採用されてきましたが、2001年に廃止され、今日では国際規格であるISO規格が主流となりつつあります。
米国連邦規格は、1立方フィート(約28.3リットル)の空間内に存在する、粒径0.5マイクロメートル以上の微小粒子の数に基づいています。この規格では、その微粒子の数に応じて、クラス1(最も微粒子が少ない)からクラス100,000(最も微粒子が多い)までの範囲でクリーン空間を分類します。
一方、ISO規格は1立方メートルの空間内に存在する、粒径0.1マイクロメートル以上の微小粒子の数に基づいています。この規格では、微粒子の数に応じて、クラス1(最も微粒子が少ない清浄度の高い空間)からクラス9(最も微粒子が多い。大気相当の空間)までの範囲で空間を分類します。
両規格ともに、清浄度クラスが低いほど空間の清浄度は高く、微粒子の数が少ないことを示します。これらの規格は、製薬業界、半導体製造業界、食品加工業界など、清浄な環境が必要なさまざまな産業で活用されています。
なお下記清浄度クラスの表に示す通り、米国連邦規格のクラス1はISO規格のクラス3相当となります。
現在、日本では主に米国連邦規格(Fed, Std.209)とISO規格(ISO 14644-1)の二つの清浄度クラスの規格が使用されています。これらは共に、空間の清浄度を計測・評価するための規格であり、どちらも微粒子の数に基づいて空間を分類します。
米国連邦規格は長年にわたり広く採用されてきましたが、2001年に廃止され、今日では国際規格であるISO規格が主流となりつつあります。
米国連邦規格は、1立方フィート(約28.3リットル)の空間内に存在する、粒径0.5マイクロメートル以上の微小粒子の数に基づいています。この規格では、その微粒子の数に応じて、クラス1(最も微粒子が少ない)からクラス100,000(最も微粒子が多い)までの範囲でクリーン空間を分類します。
一方、ISO規格は1立方メートルの空間内に存在する、粒径0.1マイクロメートル以上の微小粒子の数に基づいています。この規格では、微粒子の数に応じて、クラス1(最も微粒子が少ない清浄度の高い空間)からクラス9(最も微粒子が多い。大気相当の空間)までの範囲で空間を分類します。
両規格ともに、清浄度クラスが低いほど空間の清浄度は高く、微粒子の数が少ないことを示します。これらの規格は、製薬業界、半導体製造業界、食品加工業界など、清浄な環境が必要なさまざまな産業で活用されています。
なお下記清浄度クラスの表に示す通り、米国連邦規格のクラス1はISO規格のクラス3相当となります。
清浄度クラス ISO規格(ISO14644-1)
ISO 14644-1 | クラス上限値(個/m³) | 米国連邦規格 FED-STD-209D | JIS対象 粒径範囲 (μm) | |||||
0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1μm | 5μm | |||
クラス1 | 10 | 削除(2) | - | - | - | - | - | 0.1~0.3 |
クラス2 | 100 | 24 | 10 | 削除(4) | - | - | - | 0.1~0.3 |
クラス3 | 1,000 | 23,735 | 102 | 35 | 削除(8) | - | クラス1 | 0.1~0.5 |
クラス4 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | - | クラス10 | 0.1~0.5 |
クラス5 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | 削除(29) | クラス100 | 0.1~5 |
クラス6 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 | クラス1,000 | 0.3~5 |
クラス7 | - | - | - | 352,000 | 83,200 | 2,930 | クラス10,000 | 0.3~5 |
クラス8 | - | - | - | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 | クラス100,000 | 0.3~5 |
クラス9 | - | - | - | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 | クラス1,000,000 | - |
削除と朱記部分は、2015年のISO規格改訂の際に削除となりました。 |